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データドリブン経営推進のために――マスタデータモデリング

 当社は、基幹系情報システムの刷新、データドリブン経営に向けて、お客様の課題、要望に対応したデータモデリングサービスを提供しています。
 具体的なサービスの1つとして、マスタデータの整備、統合のためのモデリングについてご紹介します。

データドリブン経営への課題

 DX、データドリブン経営を実現するための基盤として、老朽化した基幹系情報システムを刷新することが課題となり、多くの企業でERPの更新や導入などが実施または検討されています。

 しかし、基幹系情報システム刷新は、新規、既存のシステムの連携や統合が必要となり、老朽化したマスタデータの連携、統合がシステム刷新の重要な検討課題になります。基幹系情報システムの老朽化とともに、マスタデータは、追加、変更を重ね、複雑化していることに加え、サイロ化し、互いの整合性も低下しています。
 老朽化したマスタデータは、以下の基幹系情報システム刷新の目的を達成するうえでの問題となります。

①全社的なデータの活用
受注データ、製造指示データ、製造実績データなど、ビジネスに直結する基幹系情報システムの大量のトランザクションデータは、経営、業務に必要となる基本的なデータです。しかし、老朽化により、マスタデータの定義、粒度や整合性などに問題があると、トランザクションデータの分析や予測は恣意的なものとなり、KPIも正確にとらえられなくなります。

②変化への対応
マスタデータは複数のアプリケ―ションから参照され、かつ、マスタデータ間でも双方向に参照し合い、密結合化し、複雑化しています。
そのため、システム刷新、追加、変更が容易にできず、事業や業務の変化への対応が難しくなります。また、同時に複数のマスタ運用となるため、運用コストやリスクが高くなります。

マスタデータの老朽化要因(構造的な要因と運用管理面の要因)

 マスタデータの老朽化は、その原因は、マスタデータおよびシステムの構造的な要因にあります。
これまで、AsIs概念データモデルによりお客様のマスタデータの構造を可視化し、老朽化の状況と要因を明らかにしてきましたが、個々の相違はありますが、次のようになります。

コードの問題

・意味ありコードでは、バリエーションの増大に対してコードの桁数が足りなくなる。対症療法的にコードを追加すると統制がとれなくなる。
・事業や業務の変更に対して体系的な対応ができず個別対応になり、類似・重複したマスタを派生させてしまう。
・コード統一にはマスタデータ全体の再体系化と膨大な紐づけ、クレンジング作業が発生するため、不統一のままになっている。

プログラムとの密結合

・プログラムを見ないとマスタデータ項目がどのように使われているかわからなくなる。
・業務処理要件の変更時にマスタデータへの影響が大きくなる。
・区分と区分の組み合わせで,条件が複雑化する。

トランザクションデータからの未分離

・業務処理要件の変更時に,マスタデータとすべきでないデータ項目を追加してしまう。

マスタデータ間の関係

・複数の更新ポイントがある中で、一か所でも更新漏れがあると不整合が発生する。
・関連データとの整合性を損ねる恐れがあり削除できず、ゴミデータとして残る。
・アプリ、運用でマスタデータの整合性を担保しようとしたため,対症療法的な処理となり複雑化する。

ライフサイクル不統一

・不要データの判別が困難になる。
・関連するマスタデータ間で有効/廃止の矛盾が生じやすい。
・複数部門間での運用が複雑になる。

 実際には、これら構造的な要因は運用管理面に影響を及ぼします。構造的な要因により、マスタデータの登録から含め運用管理が複雑化し、マスタデータの整理やマネジメントが難しくなること、会社全体で考えることが難しく個別のシステムについて検討するため、概念も整理されないことなど、運用管理面のマスタデータの老朽化要因に派生しています。

 ここで注意しなければならないことは、マスタデータが老朽化している状況や運用管理で問題が生じていることなど、現象は見えやすいのですが、マスタデータの構造的な要因は見えにくいことです。現象を見ただけでは、老朽化の根本的な要因はわかりません。

マスタデータの整備、統合と再老朽化

 データドリブン経営、DXの推進という企業の経営課題と、マスタデータの現状とは大きな乖離があり、マスタデータの整備と統合は喫緊の課題となりつつあります。
 しかし、多くの企業がマスタデータの整備、統合に苦慮しています。名寄せ、紐づけ、コード変換、メタデータによる概念整理およびデータマネジメントによる管理など、運用管理面の要因への対応は考えられますが、マスタデータの構造が可視化されていないため、構造的な要因への対応が検討されず、課題解決につながりません。
 また、マスタデータの整備、統合は完遂すべき目的の1つですが、最も重要なことは、マスタデータの再老朽化を防止することです。せっかく、多くの関係部門、関係者と調整し、多大な時間と費用をかけて整備し、大きな投資をしてMDMツールによる統合を行ったとしても、整備、統合で対策していなければ、ビジネスは変化し続け、マスタデータの再老朽化は始まります。数年経過して元の状態に戻ることになり、マスタデータの整備、統合の投資対効果が見えにくいものとなります。
 マスタデータ整備、統合において、マスタデータ老朽化の構造的な要因が対応できていなければ、再老朽化は不可避なものとなります。

マスタデータモデリング

 マスタデータモデリングは、つぎの通り進めます。

①各マスタデータの情報収集やヒアリングを行い、AsIsマスタデータ概念モデルを作成し、
現状のマスタデータの構造と老朽化の構造的な要因を明らかにします(下図「要約」ご参照)。

②モデルにより業務構造の理解を共有することで、プロジェクトメンバー、関係者の業務システムの検討を活性化する。
③実データにより、ToBe統合マスタデータ概念モデルを検証し、運用、機能、実現ステップなどの要件を整理します。
④要求整理フェーズから、開発パートナーに参画いただき、実装設計のための情報提供など、検討を支援します。
⑤開発フェーズでは、モデルとの整合、確認など、開発を支援します。

マスタデータモデリングの進め方(例)

マスタデータAsIs概念データモデル例(要約)

 当社は、各マスタの概念モデル事例やERPパッケージなどのマスタデータの概念モデルを作成しており、これまでのマスタデータモデリングの知見をお客様に提供いたします。マスタデータの整備、統合に課題感をお持ちのお客様はお気軽に当社までご相談ください。

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